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2013年9月9日月曜日

岸和田だんじり祭 試験曳き、南町の見事なスライディング

9月・10月は、だんじり祭の季節である。その代表格ともいえる岸和田旧市エリアの試験曳きを見学してきた。

かなりの人出ではあるが、本番より観客はやや少なめ。ビデオ撮影には好条件である。 
岸和田旧市エリアでは22基のだんじりが曳行する。うち1基、南町だけが行う独自のやり回し手法がある。
南町のスライディング
南町のスライディング

やりまわしの際、だんじりに最も近い曳き綱の部分=綱元を担当する数人が地面に体を倒しながらだんじりを操作する。地元のひとはスライディングと名付けていた。野球の滑り込みのような動作である。この光景をカメラにおさめたいと考えて、南町のだんじり小屋に近い蛸地蔵交差点へ向かう。
岸和田駅を降り、風情のある歴史的町並みが残る紀州街道を通り、交差点で曳行開始を待つ。 

曳行開始にはまだ早いはずだが、本町だんじりが交差点でやり回し。少し先で止まり、元のだんじり小屋の方に引返していった。準備運動というか、試験曳き前の試験曳きのようである。1年間、待ちに待った祭が始まる。待ちかねて、はやる気持が微笑ましい。 
定刻近く、南町だんじりが登場。紀州街道から疎開道へ向かう蛸地蔵交差点をやり回し。見事なスライディングをビデオ撮影できた。 
ビデオから切り出した写真をみると、綱元の6人が地面に体を倒しスライディングするようである。だんじりが、すぐ後ろを走ってくる。かなり危険ではあるが、粋でシブイ男気を感じさせる行為である。 
南町に続いて、本町。さらに堺町のだんじりがやり回しするのを見て、カンカン場へ向かう。 
カンカン場では、運良く紙屋町のやり回しを見学できた。昨年、カンカン場で転倒。修理を終えただんじりの初陣である。関係者の厚い思いが偲ばれる。 
見事にやり回しを終えた後、世話役であろうか、年配の男性が微笑みを浮かべている光景が印象深い。 
カンカン場や貝源・小門は、宵宮・本宮ではいつも大混雑。遠くの離れた位置からしか見学できない場所であるが、かなり近い位置から撮影できてラッキーであった。試験曳きならではのメリットである。

2012年10月5日金曜日

岸和田だんじり祭の魅力

1) お城や歴史的町並みを背景にゆっくりと曳行する光景


撮影テーマはとくに限定していないが、ビデオ撮影の場合は祭の光景が結局一番多くなっている。祭の中でも、だんじり祭はとくに見応えがある。
だんじり祭といえば、岸和田、中でも旧市内地区のだんじり祭が有名。昨年、NHK朝の連続ドラマ「カーネーション」が放映されたことで、さらに知名度がアップした。
だんじりを疾走させて交差点を回転させるやり回しが一番の見どころではあるが、ゆっくりと曳行する光景もなかなか捨てがたい。
中でも、岸和田城を背景に宮入する光景や紀州街道の歴史的町並み保全地区をゆっくりと曳行する光景は絵になる。やり回しの荒々しいイメージとは逆に、歴史に彩られた町ならではのだんじり祭の奥深さや趣を感じさせる静謐な光景である。
ちなみに、やり回しの難所として知られる紀州街道S字カーブ。90度に折れ曲がったり、斜めのS字に交差させたりしている箇所は、長い単純な直線ではなくときたま意識的に折り曲げる城下町ならではの道路づくりの名残である。

2) 祭の主役ともいえる子供たちの仕草や生き生きとした表情


屈強な大人たちにまじって、各町のだんじり衣装に身を包んだ子供たちも重要な役割を果たしている。前綱を曳く小さな子供たちの隣を、親が付き添って走っている光景も珍しくない。町のあちこちで小さなミニチュアのだんじりを引っ張って遊んだり、大工方の仕草をまねて飛び跳ねて踊る幼児も少なくない。夜の灯入れ曳行や昼曳行の休憩時には、子供たちがだんじりに乗ってだんじり囃子を見事に演奏する光景も見かける。子供たちは、祭の主役ともいえる。

3)笛・太鼓・鉦をあやつって見事に演奏されるだんじり囃子



祭の魅力に、だんじり囃子も欠かせない。だんじり囃子は鳴り物と呼ばれ、青年団から選出された五名が担当するようである。楽器は篠笛、小太鼓、鉦、大太鼓。拍子には「並あし」「半きざみ」「きざみ」などがあり、小太鼓、鉦は曳行の状態に応じて拍子を切り替える。隊列を整える間のゆっくりとした拍子から、テンポが急に速くなり呼び子笛の合図とともにやり回しに向かうまつり囃子の響きは、曳き手の心をひとつにし、足並みを揃えさせる見事なシステムでもある。