撮影テーマはとくに限定していないが、ビデオ撮影の場合は祭の光景が結局一番多くなっている。祭の中でも、だんじり祭はとくに見応えがある。
だんじり祭といえば、岸和田、中でも旧市内地区のだんじり祭が有名。昨年、NHK朝の連続ドラマ「カーネーション」が放映されたことで、さらに知名度がアップした。
だんじりを疾走させて交差点を回転させるやり回しが一番の見どころではあるが、ゆっくりと曳行する光景もなかなか捨てがたい。
中でも、岸和田城を背景に宮入する光景や紀州街道の歴史的町並み保全地区をゆっくりと曳行する光景は絵になる。やり回しの荒々しいイメージとは逆に、歴史に彩られた町ならではのだんじり祭の奥深さや趣を感じさせる静謐な光景である。
ちなみに、やり回しの難所として知られる紀州街道S字カーブ。90度に折れ曲がったり、斜めのS字に交差させたりしている箇所は、長い単純な直線ではなくときたま意識的に折り曲げる城下町ならではの道路づくりの名残である。
2) 祭の主役ともいえる子供たちの仕草や生き生きとした表情
屈強な大人たちにまじって、各町のだんじり衣装に身を包んだ子供たちも重要な役割を果たしている。前綱を曳く小さな子供たちの隣を、親が付き添って走っている光景も珍しくない。町のあちこちで小さなミニチュアのだんじりを引っ張って遊んだり、大工方の仕草をまねて飛び跳ねて踊る幼児も少なくない。夜の灯入れ曳行や昼曳行の休憩時には、子供たちがだんじりに乗ってだんじり囃子を見事に演奏する光景も見かける。子供たちは、祭の主役ともいえる。
3)笛・太鼓・鉦をあやつって見事に演奏されるだんじり囃子
祭の魅力に、だんじり囃子も欠かせない。だんじり囃子は鳴り物と呼ばれ、青年団から選出された五名が担当するようである。楽器は篠笛、小太鼓、鉦、大太鼓。拍子には「並あし」「半きざみ」「きざみ」などがあり、小太鼓、鉦は曳行の状態に応じて拍子を切り替える。隊列を整える間のゆっくりとした拍子から、テンポが急に速くなり呼び子笛の合図とともにやり回しに向かうまつり囃子の響きは、曳き手の心をひとつにし、足並みを揃えさせる見事なシステムでもある。