関西では、例年秋、各地でだんじり祭が開催される。代表格は、岸和田だんじり祭である。
一般的な知名度は低いけれど、稀少価値が高くユニークなのが、泉大津市の濱八町だんじり祭である。濱八町では「カチアイ(搗ち合い)」が見どころ。停止しているだんじりの背後から曳行してきたもう一台のだんじりが、前のだんじりに向かって全速力で疾走し、激突させるのが「カチアイ」である。
カチアイ |
だんじり曳行の大きな見せ場は、一般的には疾走しながらだんじりを急転回させるやり回しであるが、濱八町ではやり回し以上に「カチアイ」が花形。ガチンコでぶちかましが成功したときには、曳き手はもちろん観衆からも拍手喝采が巻き起こる。
だんじりの背後には後梃子という太い丸太棒が突き出している。「カチアイ」では、前のだんじりの後梃子に後続のだんじりの前正面が激突する。後梃子のぶつかるだんじり前面には当て板が装備されている。
濱八町地域のだんじり・前部に当て板を装備している |
だんじり祭は五穀豊穣を祈念する祭事であり、「カチアイ」は男女の交合をシンボライズしたものと思われる。
岸和田だんじり祭は、泉大津市のだんじりを借りてきて始まったということなので歴史的には岸和田より先輩ということになる。